在来茶について

初夏。
茶摘みの時期を迎えた楠森堂の茶畑は、
濃淡のある多様なグリーンの茶葉で彩られます。
様々な茶葉の色が混在する茶畑。
これは、「在来茶」を生産する楠森堂ならではの光景です。

在来茶とは

今、国内のほとんどの茶園が、品種改良された “ 挿し木苗 ” から育成した生産性の高い「改良種(品種茶)」の茶葉を生産しています。改良種は茶樹が均質なことから、その茶畑は一面均一なグリーンになるのが特徴です。◆ 国内全茶園の品種割合 < 改良品種99% / 在来種1% >一方、楠森堂が栽培している「在来茶」とは.. 古来、医学の未発達な時代、人間にとって疫病や病は大きな脅威でした。 平安時代、最澄や栄西ら 僧侶たちが 命がけで海を渡り 中国で仏教や文化などを学ぶ中で、茶が万病に効能のある医薬として服用されているのを目の当たりにし、茶の “種” を持ち帰り「」として我が国に伝え広めました。
今では極めて稀少となった〝茶の種から育てた〟茶樹から摘み採った古来より伝わる茶を「在来茶」と呼びます。
当茶園の茶樹は 樹齢百年を越える 国内でもわずかにしか現存しない貴重な在来種の古木です。 種から育つ (実生 : みしょう) 在来種の茶樹の根は、地中深くまで太い直根を伸ばすため 生命力が非常に強く、樹齢が長い茶の木に育ちます。自家不和合性
茶には「自家不和合性」と呼ばれる特性があり、自己の花粉による受精 (※自殖) は さまたげられ〝結実できず〟別の個体 から来た花粉だけを受け入れる仕組みが備わっています。
自然交雑
ミツバチが茶園の樹々に咲く “多種多様な茶花” の花粉を媒介し、自然が作り上げる “世界で 唯一無二の 野生種” の “種” をつくり出します。
生物多様性
《 様々な環境変化に順応するため·生き抜くための 自然界の「知恵」= 自然の「摂理」》
■地球環境を守る生態系バランスを保つ “生物多様性” 3つの要素
=「生態系の多様性」、「種(しゅ)の多様性」、「遺伝子の多様性」
在来種の茶園は、地球環境を守るために不可欠な お互いに補い合い影響し合い 直接的・間接的に支え合って生きる 生態系のバランスを維持するための自然な環境が備わっています。

先祖代々受け継がれてきた実生在来茶園.. 在来茶づくりを今も守り続ける農家は全国でも極わずか..
我が国の人々を救うため 健康維持のため、平安期以降に 仏僧ら先人たちが各地に “種” で伝え広めた “茶”..
茶が伝来して以来 昭和末期まで、 日本人が 千百有余年 味わってきたのは この実生の茶「在来茶」です。

“種” から育てた在来種の茶園は、茶樹 ひと株ひと株の “ 特徴 ” がすべて異なるため、当然 茶葉の “ 香味 ” も茶樹 ひと株ひと株すべてで異なります。
様々な特徴をもつ茶樹の混生茶園。 その新芽を まとめて摘み採ることで無数の個性が混ざり合う〝天然ブレンド〟の在来種の茶葉は、 改良種 (※単一品種) には つくり出せない 茶が本来持つ 複雑で 奥深く 力強い、その土地 (テロワール:Terroir) で育つ在来種ならではの唯一無二な素朴で風味豊かな味わいを生み出します。

「在来茶」と
「品種茶 (改良種) 」の
特徴

在来茶多種多様な茶樹が混生し “ 豊かな色彩や模様 (多様性) ” を持つ『在来種茶園』

品種茶単一種の茶樹からなる “ 単色 (均質) ” の『改良種茶園』

蜜蜂が多様な品種の茶花の花粉を媒介
自然交雑でできた“ 種 ”から育った茶樹

優良品種を挿し木増殖。遺伝的均質な
“ クローン苗 ” から育った茶樹

在来茶の根

品種茶の根

実生〈在来種〉の特徴
  • “種” から育った茶樹(自然交雑)
  • 深根性 / 干ばつに強い。生命力に優れている
  • 多種多様な品種 (野生種) の混生茶園
  • 多様な性質を持つ茶園、病害虫 ・トラブルに強い
  • トラブルが万一起きても子孫を残そうとし 沢山の花を咲かせ 実となり 自然淘汰を生き抜いた種が育ち自然再生
  • 寿命が長い。国内には樹齢数百年経過した茶園も存在
  • 新芽の生長度合は茶樹で様々。栽培・製茶が難しく経験 知識が必要。“ (改良種と比べ) 生産性が低い ”
  • 数千種の天然ブレンド茶葉 (複雑で奥深い味わい)。製品の見た目が 粗い
挿し木〈改良品種〉の特徴
  • “苗” から育った茶樹(挿し木増殖)
  • 浅根性 / 干ばつに弱い。肥料の効果が早い
  • 同一品種への偏重。香味の画一化を招いている
  • 単一種(性質一定)の茶園、病害虫の影響を受けやすい
  • トラブルが起きても再生不可能、茶樹は枯死
  • 他農作物と比較し 特異的に窒素施用が多い現代の茶栽培施肥体系。窒素多施用・多肥栽培は環境負荷増大原因
  • 寿命が短い。樹齢30~40年で樹勢が低下
  • 新芽の生育が均一で育てやすい。“ 生産性が高い ”
  • 均質な茶葉。製品の見た目に優れている
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